腫瘍は何故、再発するのでしょうか?
2010-07-23腫瘍の再発には2つの状況に分けられます。
1つが元の病巣が再度成長することによるもので、もう1つの状況はその他の場所で腫瘍が成長することによるものです。元の病巣の再発にはさらに2種類あります。1つ目が化学療法後、腫瘍細胞が見えなくなったものの、まだ殺傷されておらず化学療法薬への抗体性をもった腫瘍細胞が少量残っているというもので、1~2年以内に再発します。2つ目は、初めの化学療法で徹底的に腫瘍細胞が殺傷されたものの、10年後、同じ場所にまた腫瘍が出現するというもので、これは往々にして新しい腫瘍で、患者の遺伝子背景がこの組織に容易に腫瘍が出現することを決定しています。
その他の場所で腫瘍が成長する状況は往々にして腫瘍の移転によってもたらされる問題です。悪性腫瘍は移転します。またこの移転は往々にして原発性腫瘍がまた小さく、検査できない早期にすでに移転しています。腫瘍の移転には規律が内在しており、例えば肺癌は容易に大脳とリンパに移転します。肺癌が大脳などの組織に移転した後、化学療法薬はこれらの器官への到達は困難となり、治療効果も芳しくありません。このように、移転後の癌細胞は初の化学療法を経て、1~2年後、再び戻ってきて、今回はさらに対処が難しくなります。本質的に、腫瘍という疾病も生物進化の欠陥が見てとれます。遺伝子の突発変異は自然発生によるもので、これらの突発変異が50歳以上になると腫瘍となります。よって、人の平均寿命が40歳以下の時代、突発変異は現れる機会はなく、我々の遺伝子倉庫内に保留されてきました。現在、人の平均寿命が延長され、この進化の基本的問題に直面することとなったのです。
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